梅のことVol.1 ヘタを取るか取らないか?
https://caracaro.com/post-11980/
梅のことVol.2 青梅ジャム アミグダリンとベンズアルデヒド
https://caracaro.com/post-12496/
を、お読みいただいた方や、講師養成ボタニカルファーメント講座の受講生の方からのご質問から。
Q 「梅シロップを作っていたら、泡が立ってきました。泡が立つと失敗?なんでしょうか?」
A 発酵のタイプによっては泡=Co2が発生します。その場合は問題ありません。
ただし、腐敗したことで泡が出る場合もあるので、見極めは大切です。見極めることよりも、仕込み・管理と発酵の仕組みを知っておくと安心です。
梅シロップは エキス抽出
梅と氷砂糖で作る梅シロップは、梅を発酵させるというよりも、「梅のエキスを抽出している」が近いです。梅サワーもそう、梅酒もそうです。
1.溶けにくい氷砂糖を使うことによって、ゆっくりと梅から水分がしみ出してきます。
2.梅の水分で氷砂糖が溶けたところに、じんわりと梅の甘味、酸味、うま味がしみ出してきます。
3.芳香成分(青梅の場合は、アミグダリンが分解されベンズアルデヒド)が抽出されます。
お酢や、呼び水を少し入れたりすると、
梅の水分がしみ出さなくても、2.や 3.がすみやかに始まります。
そこは仕上がりの好みです。
発酵はこれ以後に起こります。
この段階で起こる腐敗
①梅が砂糖や水分から露出している
②砂糖が少なく、水分が腐敗してくる
③呼び水を入れすぎて水が腐敗してくる
④漬け込み時や、味見のときに、しっかり消毒できていない
などが、腐敗やカビの原因になります。

梅の発酵ドリンク
梅シロップに似ていますが、「発酵」させると、シロップとはまた違った風味の「発酵ドリンク」が仕上がります。
泡=Co2を発生させるには「酵母」が好む発酵環境を作ります。
1.梅シロップから発酵させる
梅シロップが完成したら、そのまま室温で管理します。
梅が露出しないように気をつけて、1日1回は混ぜるます。
泡を楽しみたい方は、そーっと梅を沈め、上の梅を下に、下の梅を上にもってくる程度にしておきます。
蓋は密閉しますが、破裂が恐いので1日1回または2回、蓋を開けて脱気します。
瓶が大きすぎると、液が入っていない部分からカビが生えることがあるので、砂糖が溶けたら瓶を小さくしていくのがおすすめです。

2.はじめから発酵させる 水を使う
少量の砂糖と水をたっぷり入れて、梅を漬け込む方法です。
腐敗もカビも起こりやすいので、教室でしっかり学ぶことをおすすめします!

3.はじめから発酵させる キビ糖と少しの水で
梅がしっかり埋まるように、キビ糖をたっぷり使って詰めていきます。
発酵を促すために、少しだけ水をいれます。
梅が露出しないように気をつけて、1日1回は混ぜる。泡を楽しみたい方は、そーっと梅を沈め、上の梅を下に、下の梅を上にもってくる程度にしておきます。
蓋は密閉しますが、破裂が恐いので1日1回または2回、蓋を開けて脱気します。
瓶が大きすぎると、液が入っていない部分からカビが生えることがあるので、砂糖が溶けたら瓶を小さくしていくのがおすすめです。


カビと腐敗


カビはヘタから
梅のことVol.1 でも書きましたが、ヘタを取る理由の1つに、カビガ生えやすいというのがあります。
ウメの実の「いたみ」は、果実がこすれたり、圧迫されたり、見えない傷から始まることが多いですが、ヘタの周囲が腐ってきて、カビがはえることが多いです。
微妙な乾きと酸素にふれる
たっぷりお砂糖を使っていても、腐敗は起こります。
水分量が多かったり、酸素に触れすぎていたり、微妙な乾きと温度がカビの好きな環境を作ってしまいます。
毎日混ぜる
→ 糖度・粘性の高い液体でコーティングされるとカビが生えにくい、腐りにくい
→ 酸素が混ざりますが、空気にさらされ続けて皮かいないことが大事
水分と砂糖量の微調整を続けていく
→ 水分が多いと、腐りやすい。加水分解や酸化なども起こります。
→ 砂糖量が多すぎると、コーティングされず空気にさらされ、カビが生えやすくなります。
いろいろと書いてみましたが、梅シロップも梅発酵ドリンクも、手順を守れば簡単です!
ですが、近年の気候だけでなく、地域差、住居環境の差も多様で、たった1日でカビがはえたりすることもあり、発酵の講座でも「こんなに違うんだ!」と驚くことばかりです。
発酵は、「菌を育てる」ための環境づくりです。
微生物のために、まるで水槽を立ち上げるように、瓶の中に植物を仕込み、エサをやり、観察して、調整する。
動物や植物と暮らすように、微生物とも暮らしていける。
発酵の世界が大好きな方に、植物の色味香りを楽しむ発酵・ハーブや果物を長く楽しむための発酵をぜひお伝えしたいと思います。
::::::::::::::::::::
CARA-CAROフィトテラピースクール認定教室でも、梅の講座を開催しています。
梅の色味香りを生かした楽しみ方、安全性、作り方、
知っているようで知らなかった、植物のなぜ?どうして?にお答えしながら、
植物のある暮らしを楽しむ愛おしい時間です。
私たちに癒しと健やかさを与えてくれる
植物が持つ鮮やかで香しい機能性について学びながら、
色味香りの成分の特性をひきだす発酵を学ぶ
講師養成ボタニカルファーメント講座
https://caracaro.com/botanical-ferment/
石橋志保
CARACAROフィトテラピースクール代表
植物療法講師/ハーブ専門家
植物文化・死生学・ライフデザイン研究家
神戸を拠点に、伝統的なハーブ療法に、現代の成分化学、生化学、分子生物学などのサイエンスの観点を取り入れ、エビデンスベースなハーブ・アロマテラピーを展開。キャリア30年以上のプロ養成スクールを運営・指導。フィトケミカルや植物辞典など植物の科学と文化を幅広く発信。
植物と宗教・民俗、 死生観・ライフデザインをテーマに、講座やワークショップの企画運営、 講演・執筆活動を行う。
幼少から植物栽培、発酵・歴史・文化・宗教・民俗が大好物。修士(人間学)専攻は人間社会学、専門は死生学(災禍の儀礼、祈り、悲嘆ケア・グリーフケア)。神話・宗教・芸術と植物から、人が植物に託した思いを紐解き、祈りや儀礼とともにトランジションをデザインする「ハーベストライフ」を提唱、執筆講演活動中。



