
植物と人、生と死と祈りの物語。
植物と人、生と死と祈りの物語。
人が植物に託した思いと、植物に重ねてきた生と死。
儀礼や神話、信仰や習俗、歴史の断片を辿りながら、
100年時代を生きる私たちに、植物が導く人生と、その標石を見つめてみます。
植物と歴史から、生と死をひらく
植物は、薬草や香りとしてだけでなく、祈りや別れの場面、節目の儀礼にも寄り添ってきました。
古くから人が植物に託してきた思いを手がかりに、生きることと死ぬこと、そのあいだをどう歩むかを問い直してみる。
この場所は、そうした「植物を通して人生を見直す」ための、小さな書庫です。
日本という、自然の脅威にさらされながらもそれを受け入れ、独自の美意識と文化を育んできた風土。
大地震をはじめとする度重なる自然災害を経験し、それでも立ち上がろうとしてきた歴史の上に、私たちは生きています。
自由や多様化、情報化が加速する社会のなかで、変容していく価値観に翻弄されながら、
「どう生き、どう別れ、何を大切にしていくのか」を、あらためて問われつづけています。
神話や物語、宗教や習俗、歴史に刻まれた植物の姿を読み解きながら、
100年時代を生きる私たちそれぞれが、自分なりの生と死のかたちを見つける手がかりを集めていきます。
ハーブやアロマの実践知と、死生学・歴史・文学の視点を束ねて、人生の歩み方とその標石を静かに探る場でありたいと願っています。
テーマ
著者プロフィール
著者/石橋志保
CARA-CAROフィトテラピースクール代表。
エステティシャンとして、女性のからだと人生に向き合うなかで、ハーブとアロマの教育にも携わる。
30年以上にわたって植物と人の関わりについて学び、伝え続けている。
人間学修士。専門は死生学、災禍における葬送儀礼・追悼式、悲嘆ケア。
日常の儀礼や植物との関わりが人に与える影響について研究を続けている。
植物と死生学、歴史・神話・民俗を手がかりに、「100年時代をどう生きるか」をテーマとした講座・講演・執筆を行っている。
子どもの頃から、畑や庭で植物に触れながら育ちました。
歴史や神話、民俗をテーマに家族で各地を旅し、植物と仏教に深く傾倒していた父の影響を受けて、「植物」と「物語」と「祈り」は、いつも身近なものとしてありました。
幼い頃から身近な死別を経験したこともあり、「人はなぜ生き、なぜ別れの儀礼をもつのか」という問いは、心のどこかで消えずに残り続けていました。
エステティシャンとして人のからだと向き合う仕事からはじまり、やがてハーブとアロマの世界に出会い、CARA-CARO Phytotherapy School を立ち上げて30年あまり。
阪神・淡路大震災を経て「心のケア」が注目されるなかで、がん患者さんやご家族へのケアに関わりながら、被災者個人のケアにとどまらず、その後の復興や追悼式、社会全体のグリーフに目を向けるようになりました。
そうした経験から、「植物のそばには、いつも人の生と死と祈りの物語がある」と感じるようになり、改めて死生学を学び直しました。
そしてもう一つ、死生学をほどいていくと、時代と価値観の変容の中にある「100年時代」の姿が見えてきます。
ゆらぎの季節は長くなり、一人の人間がいくつものライフステージを生き、多様な役割を何役も担う時代。
明快な「生き方のモデル」が用意されていない世界で、植物は、ただその場に根づき、移ろいに身をゆだねながら生きていくという、本質的なあり方を静かに教えてくれます。
Inscriptorium は、こうした植物との対話と死生学の視点から、100年時代を生きる私たちそれぞれのライフデザインを、ともに考えていくための小さな書庫です。

