ラベンダーの主要成分としてよく知られるリナロールと酢酸リナリル。どちらも優れた鎮静作用をもち、爽やかなグリーンフローラルがとても人気の芳香成分です。「鎮静作用」と一言にいっても、その働き方、利き方はさまざまです。その違いを無視して「鎮静作用」と表現してしまうことは、精油選びの難しさや、イメージと異なる結果や望まぬ作用につながることもあります。しまいます。
アロマテラピーの魅力は、クライアントワークにおいて、丁寧なカウンセリングを経て、よりパーソナルなケアが行えることだと思います。その日、その時、その場所だから選べる精油とブレンド、また、その人ならではの体質や好みとシーンを想定した選択とブレンド。そのためには、成分「単体」の個性と働きの考察と理解を深める必要があります。
作用機序と成分特性【リナロール】
ラベンダーはじめ、古くはローズウッド、ホーリーフ、クロモジなどの鎮静作用を語る上で重要なのがl-リナロール(l‑linalool,(S)-linalool)です。既存の研究データからは、l-リナロールの鎮静効果の作用機序として以下の経路が示唆されています。

①GABA‑A受容体を介する神経経路を活性化する
皮膚塗布と嗅覚を介しての相乗的な作用あり
②二次的に、交感神経優位から副交感神経優位へ

作用機序と成分特性【リナロール】
同じく優れた鎮静作用で知られるのが「酢酸リナリル(linalyl acetate)」です。ラベンダーはもちろん、ベルガモット、プチグレン、クラリセージなどにも多く含まれます。

①平滑筋弛緩により、血圧低下などの循環・血管系への働き
②二次的または同時に、副交感神経優位 中枢神経系や心理的にも変化

ラベンダーよりも酢酸リナリルの含有率は高い
【リナロールと酢酸リナリル:似ているけど異なる点】
リナロールは、GABA-A受容体を介して、中枢神経系で鎮静に働きます。
GABA-A受容体を強化することで、不安や緊張といった回路を抑制し、不安や緊張に起因する脳の働きは低下します。自律神経系も、交感神経優位から副交感神経優位へ傾きが変わり、身体的にもリラックスモードへ移行します。
また、運動ニューロンや筋緊張を高める働きが低下するため、筋肉もゆるみやすくなります。平滑筋にも作用しますし、副交感神経優位なども相まって、全身リラックスモードに移行します。
酢酸リナリルも、GABA-A受容体などにも多少は触れるようですが、その働きは強く観測されていません。どちらかというと、酢酸リナリルは、「からだをゆるめる」面が強くでています。
長時間の労働や睡眠不足、緊張やクセで、交感神経優位に傾きやすい方は、末梢の血管収縮により、高血圧や冷え、頭痛などが起こりやすいです。酢酸リナリルは、先に末梢の血管収縮をやわらげ、「からだからゆるめる」ことで、副交感神経優位な身体の状態を作り出し、中枢神経や心理的にもリラックスさせるというルートが強いと考えられています。
私たちの身体は、中枢神経や自律神経系がぐいぐいと、完全に支配しているのではなく、臓器⇔中枢神経という求心性の神経伝達や、末梢⇔自律神経系⇔中枢神経系という相互連絡があります。温かい飲み物で胃腸をあたためる、手足や顔、首などの末端やをあたためると、こころも緩んで眠くなる。そういう経験が裏打ちしてくれます。
そうすると、よくある症例「アロマテラピーで、肩こりをやわらげる」という課題も、その人の気質や体質、生活習慣などから、精油の選択や、ケアの取り組み方が変わってくると思います。
注意
注意点のキーワードは、血管拡張・血圧低下・副交感神経優位です。
・低血圧に注意
寝不足、長時間労働、緊張や不安や肩こりがあっても、実は血圧が低い人はとても多いと思います。そのようなケースに多用したくないのが酢酸リナリル。次いでリナロールです。
・血管拡張(収縮した血管をゆるめる)
血管系への作用から、拍動性頭痛も同じく注意しています。
・副交感神経優位
末端の冷えだけでなく、体温も低め、脂肪が少ない、筋肉が少ない人など、代謝全体が悪い人も多用しません。
起立性調節障害がある人は、そのタイプを見極めて、主治医の先生とよく相談して使用タイミングなどを見計らいます。
【CARACARO流:クライアントワークの実際】
単に「鎮静作用」で選んでも、なんら問題はありません。
植物療法全体に言えますが、パーソナルケアとしての価値は、カウンセリングとパーソナルブレンドにあります。
①「クライアントが抱える問題の本質」
なぜ鎮静したいのか?
根本的な解決が必要なのか?一時的な補助で良いのか?
②「クライアントの体質」「禁忌事項・注意事項」
血圧や体力、入眠や睡眠のトラブルなどに問題はないか?
ほかのケアや飲食物、投薬との重複・拮抗はないか?
③「求められる鎮静の質」×「成分の薬理機序」
ここが上記の リナロールと酢酸リナリルの作用機序の違い に当たります。
④「精油としての全体性」
リナロールや酢酸リナリル含みながら、精油全体としての働きが、クライアントの体質や希望に合っているか?
使用のタイミング、TPOに合っている?強すぎたら使用量やブレンドで、作用を調節する。
これらを掛け合わせて精油を選定し、最適濃度にブレンディングすること。
このオーダーメイドな作業がアロマテラピーの醍醐味でもありますし、セラピストに求められる高度な技術です。
精油には「香りの強さ」の違いがあるので、ブレンディングには、あらかじめブレンドファクターでアコードをとっておくと便利です。
リナロール、酢酸リナリルの作用の違いを踏まえて、
今回は、血圧調整と頭痛のある方について、これらを使う注意点についてお話ししています。
● 低血圧の方への注意・高血圧の方への注意
● 頭痛のある方への注意
● 肩こり筋肉痛について この記事のまとめ
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