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雪とリンゴの香り 北原白秋

先日、サロンのお客様にりんごとラフランスをいただきました。

食べ頃のラフランスを先にいただき、リンゴは明日か明後日にと、キッチンに置いたのですが、
通る度に、ふわっと良い香りが後を追ってきて、思わず深呼吸してしまい、思考が止まります。

りんごといえば、北原白秋の詩を思い出します。

北原白秋は、山田耕作とのゴールデンコンビで、
校歌やら軍歌やら童謡やら数々の名曲を残した稀代のヒットメーカーです。
私はそんな白秋先生が大好きで、
父に買ってもらった『北原白秋』という伝記を大事に大事にしていました。

ところがです。
ある日、手に取った白秋先生の詩集を読んでびっくり。
そこには、大人の色香と、官能に満ちた世界がありました。
当時小学生だった私は、胸がドキドキしてしまいました。

それなのに、しばらく経つとまた読みたくなって、
おっかなびっくり何度も図書館で読んでしまうのです。

その詩集の中の

「君かへす 朝の舗石さくさくと 雪よ林檎の香のごとくふれ」

という胸キュン短歌が、忘れられなくなったからです。

白秋先生の道ならぬ恋の相手が、こっそり朝帰りする。
その後ろ姿を見送りながら、

「明け方の雪が残った玄関に、ついた恋人の足跡も、彼女をかくすように白い雪がふりますように」

りんごのみずみずしい甘さと香り、
そのシャリシャリした歯ざわりと新しい雪を踏む音をかけています。

短い歌の中に、
息が凍るような寒い朝なのに、胸の中は切ないけど恋する二人の思いやる気持ちが暖かく、
さすが白秋先生と唸らずにはいられません。

きっと会ったら好きになっちゃいます。

リンゴの香りとともに蘇る、甘ずっぱい思春期前夜の思い出でした。

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ちなみにリンゴの香気成分は、
エステル類(酪酸エチル、ブチルアセテートなど)
脂肪族アルコール類(シス-3-ヘキセン-1-オールなど)
脂肪族アルデヒド類(ヘキサナール、トランス-2-ヘキセナールなど)
で、構成されています。

酸とアルコールが結合するエステル類は、
果物が熟す過程でも生成されるため、
アロマテラピーで用いる精油に含まれる場合も、
完熟や熟成などの豊かな印象を与えてくれます。
特に酪酸エチルは、熟したバナナやパイナップルを思わせる香りです。

アルコール類のシス-3-ヘキセン-1-オールは、
炭素数6の鎖状のアルコールで(脂肪族アルコール)で、
緑の草を刈りとったときに立ち上る「青い草の香り」です。
りんごの爽やかな青さを担っていて、
エステルに対してこちらは未熟な香りとでもいえるかと思います。

脂肪族アルデヒド類のヘキサナールも、青い香りで、
脂肪族アルデヒドは強いので、「青臭い」と表現されています。
ちなみにトランス-2-ヘキセナールは「カメムシの香り」です汗
臭いと芳しいは、紙一重ですね汗

ちなみに脂肪族のヘキセナールやヘキサナールなどは、
脂肪酸由来で生成されるため、
油脂からこの香りがしてきたら、油脂の劣化が進んでいることになります。
このお話しは、また機会があれば。

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ここまで書いてみると、りんごって青い果物かもって思います。
その青さが甘酸っぱい頃を思い出させるのかもしれません。

赤いリンゴに唇を寄せたり、
りんごの花びらが風に散ったり、
青ざめた月が東からのぼったり、
殺人現場に落ちていたり、

日本人の美意識や死生観に、なじむ植物ではないかなと思います。

CARA-CAROフィトテラピースクール
石橋志保

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