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精油の香りを聴く 閾値

アロマテラピーを教えていると、
検定試験などで、たくさんある成分のどれを覚えれば良いか?というご質問があります。

1つの精油には、たくさんの種類の成分が含まれていて、
その組み合わせも割合も、完璧に再現するのが難しい(そしてコストがかかる!)と言われています。

そのため、成分分析表であっても原則的には抜粋しており、
教科書には、それよりももっとデフォルメされたものが掲載されていますが、
学ぶコースのレベルや、団体や講師のこだわりで、
グループ毎にまとめられていたり、成分1つ1つの%が記載されていたり、
その記載方法も、抜粋の際の取捨選択も様々です。

ほとんどの教科書が、
含有量が多い成分から表記してあり、そこに重要な「特徴成分」も添えられているはずです。

5-6個くらいでしたら、アロマテラピーを続ける中で自然と身について覚えられるようになります。
その理由は、いろいろな精油を使えば使うほど、主成分は同じような成分と繰り返し出会い、
個性的な精油であれば、唯一無二といえるほど、強烈な印象とそこでしか見聞きしない成分があるので、
百人一首の一枚札「むすめふさほせ」と同じように、覚えてしまったらよいのです。

いまは成分分析表が添付されているか、サイトからダウンロードできるメーカーも増えたので、
成分分析表で、割合の高い成分やめずらしい成分をチェックして、
他の精油と比較して、似たものがないか探してみるのもよい勉強になります。
成分分析表の例

ただし、文字表記や含有量だけで判断できないのが、「閾値」です。

香りにはそれぞれ「閾値」があり、
香りが薄く、含有量が高くてもあまり香らない成分と、少量でも強烈に香る成分があります。


たとえば柚子です。
柚子精油で一番含有量が多いのは、
モノテルペン類、その中でも圧倒的に多いのがd-リモネンです。次にγ-テルピネン、
そしてモノテルペンアルコール類のリナロール、フェノール類のチモールや、
セスキテルペン類のエレメンなどが見られ、この辺りから、メーカーやロットに個性が出始めます。

しかし、これらのどれもが「柚子らしさ」ではありません。

「柚子らしさ」につながる香気成分でよく知られるのは、ユズノンとユズオールです。
ユズノン(ケトン類)
ユズオール(アルコール類)

これらは、成分分析表に記載されていることは少ないのですが、
その理由は、ごく少量しか含まれていないからです
しかし柚子の特徴となる香気成分で、
柚子の何百種類といわれる香りの成分のなかで、とても重要な香りの柱となる成分です。

少量しか含まれないユズノンとユズオールですが、
柚子を手にしたとき、絞ったときに、強力に印象を与え、私たちを魅了するのは、
その香りの強さ=閾値の小ささにも理由があります。


嗅覚閾値とは
⼈間がにおいを感じる最⼩濃度のこと

検知閾値:何のにおいか判別できなくても、何かにおいがするということを感知できる最小濃度
認知閾値:何のにおいか感知判別できる最小濃度
弁別閾値:主ににおいの強度について、強い、弱いなどが感覚的に区別できる最小濃度

ユズノンの検知閾値は10ppt、ユズオールは42pptです。
検知閾値10pptというのは、50mプールの水にわずか10mgのユズノンを入れるだけで、水から何かしら香りを検知できるという強さです。
参考:天然食材中の超微量重要香気成分の研究合成化学を通じた食品香料への応用 渡辺 広幸  長谷川香料株式会社 2016


ということで、
私が「柚子の精油について、どの成分を覚えておけば良いか?」とご質問を受けたら、

主成分 d-リモネン
特徴成分 ユズノン、ユズオール
と、最初はここまでは覚えてましょう。

慣れてきたら
γ-テルピネン チモール リナロール エレメン
などを追加します。

と回答します。

精油の場合はそれぞれの成分閾値と香りの特徴を踏まえて、
柚子を主役でブレンドするときは、
d-リモネンの存在と、ユズノン、ユズオールを活かすことを考えて、
ユズノン、ユズオールに沿うものか、際立たせるもの、薄めすぎないように気をつけます。

症例別にブレンドするとすれば、
抗うつ、抗不安を主体とするか、食欲増進、健胃などを主体とするか、
神経性の胃腸症状とまとめて考えるかはケースバイケースです。

こういったブレンドは、習うよりもたくさん経験することが大事ですが、
理論で組み立てられれば習得は早いし、たくさんの方とシェアし合うのがよいですね。


香りの特徴成分は微量でも、その香りを(私たち脳が)作る大切な成分です。
薬理作用の主体と、香りの主体が異なる場合もありますので、
アロマテラピーのレッスンでも、アコードレッスンやブレンドレッスンでも、
そこは意識してお伝えしていきます。

香りを聴くときに、芳香分子を学んだら、ぜひ閾値にも注目して学んで見て下さい。
香りのアコードレッスンで、いろいろなブレンド比率の経験をつんでいきましょう。

CARA-CAROフィトテラピースクール
石橋

【関連講座】
香のアコードレッスン
http://caracaro.com/school/page-11484/

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